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アベノミクスで給与は上がるのか

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アベノミクスで雇用は改善されるのか?の続きです。

給与の推移
サラリーマンの平均給与は平成9年の467万円をピークに減少しています。
途中、平成19年と22年だけ前年を上回りましたが。トレンドは下降トレンドにあります。

2002年1月~2008年2月の73カ月間のいざなみ景気は長さの点でいざなぎ景気を超え、名目GDPは上昇し株価は倍になりましたが、その間、民間のサラリーマンの平均年収(民間企業で働くサラリーマンや役員、パート従業員の平均年収)は減り続けました。
いざなみ景気に入る前の2001年454万円 2008年は430万円まで毎年前年を下回り続けました。

企業が社員に利益を還元しないのは、企業がバブル崩壊後の負の遺産を処理するためとか、株価下落に伴う内部留保の減少を補うためとか説明されていますが、本当にこれだけでしょうか。

給与が上がららない理由
給与のグローバル化
管理人の周りには中小企業の経営者が多いのですが、彼らは会社の将来に対する不安を抱いています。
経済のグローバル化は、世界の国の企業との競争を余儀なくされています。
この競争に勝ち抜くためには、付加価値の高い商品やサービスを生み出すことにありますが、同時にコストを下げることが至上命題になります。
コストの中心が人件費である場合が多いですから、同じような商品を中国や韓国で作った場合と日本で作った場合を比較すれば人件費コストの安い国が価格競争力を持ちます。
工業所有権が成熟していない国も多く、簡単な商品ならすぐにコピーされてしまいます。

日本の企業は、コピーの難しい付加価値の高い新商品を開発したいと日々努力していますが、そういう商品の開発は容易ではありません。

だから、私の周りの経営者は、人件費もグローバル化したいと考えています。
人件費のグローバル化というと聞こえはいいですが、商品やサービスにかかる人件費を海外並みにしたいということです。
日本の平均賃金は大分下落しましたが、それでも今も上から数えて世界で8番目位に位置しています。

人件費のグローバル化を現実のものにしたのがユニクロの世界同一賃金の導入です。
それぞれの国の経済状況によって調節するとも言っていますが、基本は同一賃金ですから、国によって高額賃金であったり、魅力のない賃金であったりする事態が生じます。
そして、やがて同一賃金の基準は世界の業界賃金の中央値に寄せられてくると思います。
高賃金の国は、低賃金の国の影響を強く受けることになります。
タイであれば月額賃金は、日本の1/10ほどです。

私達からすれば、日本の企業は日本国民を優遇するのは当然と考えていますが、グローバル企業は無国籍企業です。特定の国の社員を特別厚遇したいという考えはありません。
どの国の社員であっても、優秀で会社に貢献する社員は可愛いのです。
グローバル企業の立場に立てば、世界の国々で働く自社社員の処遇の公平性を図るということですから、企業理念としてケチのつけようがありません。
ユニクロに続く日本企業が増えていくことでしょう。


いざなみ景気における賃金の減少は、賃金においてもコストパフォーマンスを改善したいとする経営側の意図が明確に働いていた結果だと思います。

人件費の変動費化
もう一つの賃金コストパフォーマンスの改善は、賃金を変動費として捉える動きです。

小泉内閣の規制緩和は派遣労働者の職域を大きく広げましたが、中心となる考え方はそれまで原則禁止であった労働者の派遣を、法改正によって原則自由としたことです。
この原則自由化は、企業の人件費の一部を変動費として捉えることを可能にしました。
企業は派遣社員を始めとする非正規社員の割合を大きく増やしていくことになります。

企業がこれほどのメリットを簡単に手放すわけがありません。

現在、膨れ上がった非正規の雇用者数1890万人。実に雇用者3人に1人が非正規社員という状況です。
これら非正規社員を正社員に移行するほどの労働市場の逼迫化が生じれば、少子化の現実がクローズアップされて正社員の雇用は急増することが予想されますが、それにはバブル期のような景気浮揚感が必要かと思います。
先進国の経済状況の中で、日本だけが一人勝ちするとは到底考えられません。

以上のことを踏まえると、安倍内閣が目論む景気浮揚による労働市場の逼迫化が、正社員の増加と賃料の上昇に結び付くという考えは短絡的であると思えてなりません。

需給関係がタイトになる傾向が認められるようになれば、派遣社員の時給があがるということは起こるでしょう。
派遣会社は、需給のひっ迫を素早く察知し、単価アップの交渉を始めるからです。

結果、非正規社員を含む有効求人倍率が上昇し、派遣労働者の時給が上昇したという程度の改善にとどまる可能性が否定できません。

加えて
限定社員、解雇の自由化、65歳雇用延長、裁量労働制、消費税アップ

どれも、サラリーマンにとって歓迎すべきことではありません。
どれも、サラリーマンの将来に不安な影を落とすものばかりです。

果たして、これで消費マインドが改善して景気の循環が好転していくのか疑問です。
景気回復が大企業に努める社員の大幅な賃金アップと非正規社員の更なる増加という、冨の2極分化が進行していくことが懸念される状況にあると思えてなりません・・・。


とはいうものの、矛盾していると指摘されることを承知の上で、
安倍政権に密かに期待している者のひとりであることを付け加えておきます。

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