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心理資格 国家資格への遠い道のり(3)

■内なる葛藤
これまで、心理学関連学会・団体以外の立場にいる組織による心理職の国家資格化に対する考えや動きを紹介してきたが、国家資格化を遮る内なる葛藤も吟味する必要がある。
心理資格の国家資格化( )は関連学会・団体の悲願であるが、その利害は必ずしも一致しない。
受験資格ひとつを取っても、教育機関の死活問題につながる恐れがあるからである。
創設する心理職国家試験受験資格に制限を設けないとして門戸を広げれば、心理学関連の高等教育機関への進学率は減少するはずである。
代わって、通信講座や予備校的な養成施設は活況を呈することになる。

大学卒業資格を受験資格とすれば、現在大学院修士を条件にして資格を認定しているところの大学院への進学率は激減するかも知れない。
大学院修士を受験資格とすれば、受験者の負担が過大となって初めから心理学が敬遠されるおそれがある。

そもそも、国家資格のあり方によっては、学会認定資格の存在意義さえ失うおそれもある。
既に社会に認知され浸透している学会認定資格もあれば、そうでないものもある。
認知されるに至るまでは、相応の努力と実績を積み上げた結果であるから、これらのプロセスを一切評価しないとすれば、到底容認できない教育機関も出てくるのは必然である。反対に喜ぶ教育機関の存在も否めない。

心理職の国家資格化を願う当事者らの立ち位置が異なることが、国家資格化への道のりが遠くなる要因である。
別の見方をすれば、国家資格化が早期に実現しなかったから、長い歳月を通して、心理学にかかわる分野が細分化されて立ち位置が異なる状況が生まれてきたともいえる。

しかし、紆余曲折とした国家資格化への道のりも、2011年10月に公表された「心理師(仮称)国家資格制度への要望書」は、3団体が二資格一法案から一資格一法案への要望として、ようやく合意に至ったものである。

これに対しても一部の関連団体から反発の声があがったが、これを押し切る形で統一要望として公表され、2012年10月時点においてもこの方針に変更がない。
民主党が大敗したので国家資格化を推進してきた議員の数が相当減少したかも知れないという懸念材料はあるが、おそらく、来年の国会審議で心理職の国家資格化法案が上程されることと思う。

■国家資格の中身
資格の中身については、まだ流動的であるが、国家資格としての実現の可能性は高い。

現在、進められている国家資格化の内容は名称独占資格である。
医療関連資格が業務独占型であるのと比べるとその資格の持つ効力は小さいと言わざるを得ない。

国家資格取得者でなければ、その名称を使用してはならないとするものである。
これは、今まで、「心理カウンセラー」を名のっていたひとは、その名称または類似名称が国家資格にならなければ、従来通り名刺の肩書きに「心理カウンセラー」使えるわけだから、国家資格者以外の心理職に与える影響は軽微である。

一方、名称独占資格の法的な効力が上記の範囲であっても、社会における実際の効力は資格名称が社会でどのように使われるかで、大きく異なってくるものである。

心理資格についての知識のない人が、国家資格名称が唯一の心理関係の資格だと思い込むひとも多いことが予想されるし、
心理資格者を採用しようとする企業や施設が、応募資格に国家資格名を多用するようになれば、
心理士の資格といえば、国家資格名を指すと社会で広く認知されるようになる。
こうなったときの名称独占の効力は絶大であるといえる。

一方、別のパターンとして、
例えば、名称独占型の国家資格であるファイナンシャルプランニング技能士よりもファイナンシャルプランナー資格の一般名称のほうが広く社会に認知されているケースもあるので、国家資格名だから優位に立つとは一概にいえないケースもある。

━ 今年も残り僅か
  2013年が良い年でありますように ━
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