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派遣社員と有効求人倍率

非正規の中の派遣社員の動向をみると、1999年8月時点で28万人であった派遣社員は、2011年には96万人に膨れ上がりました。
2005年~2009年は100万人を超えており、多い年は140万人にも及んでいます。実に5倍に達する年がありました。

1986年に労働者派遣法が制定された当時は、派遣という働き方について国は慎重に取り扱っていました。
ひとを商品として扱うおそれはないか、正規社員の座を脅かすおそれはないか、などを視野に入れながら、特定の13業務に限って、短期間に限って派遣を認めました。
労働者側からも多様性に富んだ働き方を求める声も大きくなりました。

労働者に余裕があった時代です。

バブル崩壊後には、業績に苦しむ企業側から、人件費の負担と雇用の責任を軽減したいという思惑で派遣の規制緩和を求める声が強くなりました。
こうした労働環境の変化に伴い、労働者派遣法はいくつかの改定が行われ、
「派遣は原則禁止で一部の業種に限って認める」という考え方から、「派遣は原則自由で、一部の業種に限って禁止する」という考え方に大きく変化しました。
派遣の期間も一部を除いて制限がなくなりました。
こうした変化は、正社員の人数は縮小し、不足する人材は派遣社員で補おうとする企業を増やしていきました。

企業は、正社員には給料だけでなく、社員が加入している厚生年金料の半額を負担したり、退職金の積立や交通費の支給をするなどして、仮に正社員に支払う給与と派遣会社に支払う派遣料が同額でも、企業が負担する金額は正社員のほうがずっと大きくなります。
加えて、正社員は労働基準法によって、業績が悪くなっても簡単に解雇できません。
派遣社員や契約社員のほうが都合がいいという企業が増えていきました。
契約社員も契約内容に処遇を限定できるので、企業にとって都合のよい雇用関係です。

仕事がたくさんあって、自分のライフスタイルにあった仕事をチョイスできるときは、
契約社員や派遣社員は多様性に富む働き方のシンボルとして歓迎されました。

しかし、正社員の求人が減少して、契約や派遣の非正規社員でないと職を得ることが難しいという状況になると、働くひと、働こうとするひとのマインドを冷えさせます。
日本は、移民の多いアメリカと違って、国民は高学歴であり、戦後は終身雇用(正社員)という文化のもとに経済成長を果たしてきました。
正社員の動向が景気に与える影響は他国よりも大きいといえます。

したがって、正社員と非正規社員の割合が大きく変化している総合的な有効求人倍率は、
雇用を表す指標としては不十分なものとなりました。

正社員の有効求人倍率も併せて積極的に公表すべきです。
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